この記事を簡単に要約すると
- 子ども・若者の不安解消政策として、不登校の子ども支援策にも取り組みたい
- 令和2年時点で不登校の小中学生は全国に20万人弱、8年連続で増加傾向
- 文科省アンケートでも支援関係者からの聞き取りでも、学校には行きたい子どもが多い
- 今必要なのは、地域・家庭の経済力に関係なく受けられるための公的な不登校支援の拡充
こんにちは、赤松健です。
今回は、私が5大政策として掲げているものの1つとして、「子ども・若者の不安解消」がありますが、その中で不登校の子ども支援を政策として取り組みたいと考えています。
いま日本では、不登校の子ども(小中学生)が増加し続けています。不登校となった子どもたちは、不登校となった要因も様々であれば、不登校中の生活も様々で、家にひきこもっている子から学校に行かないだけでアクティブに活動している子もいます。つまり、不登校の問題を解決するためには、子ども達ひとりひとりと正面から向き合う必要があるのです。
私は政策としてやるべきだと考えているのは、「学校に行け!」という押し付けではなく、学校に行きたくないけど勉強はしたいという子にはそのような支援を、学校に行きたい子は段階的に行けるような支援を受けられるようにする、そういった選択肢の提供です。
いま現在でも、教育支援センター等はありますが、1人1人の子を見る継続的かつ十分な支援には足りず、そうした十分な支援を受けるためにはフリースクール等の月謝が出せるような経済力を家庭が持っていなければなりません。どんな家庭に生まれた子どもでも、どこの地域に生まれた子どもでも、支援を受けたい子どもに届く全国的な公的支援が必要です。
不登校児童生徒の現在
まず、いま日本には不登校児童はどれくらいいるんでしょうか。
文科省の資料によると、令和2年度の不登校児童生徒数は19万6127人であり、1000人児童がいたら20.5人は不登校の子どもがいる計算になります。そして、この数は8年連続で増加しているのです。この問題が悪化傾向にあることは一目瞭然です。
ここでいう「不登校」とは、ざっくり言うと、何らかの要因・背景により年間30日以上欠席した子どもたちです。
1週間以上連続的に欠席している子どもや登校はしても教室にはいかない、授業に参加しない子どもなどの不登校傾向にある子どもを含めるとその数は倍増するのではないかと考えられます。
不登校になる要因の2割強は、「自分でも分からない」
では、この不登校になった子どもたちは、なぜ不登校になってしまったのでしょうか。学校に行く必要が無いと自ら考えたからでしょうか。
ここでは、文科省による別の実態調査資料を出します。「最初に行きづらいと感じ始めたきっかけ」という質問に対する回答の資料です。1つ目が小学校で、2つ目が中学校です。
単純に回答割合が高い順に上から並べると、小学校では「先生のこと」「身体の不調」「生活リズムの乱れ」、中学校では「身体の不調」「勉強が分からない」「先生のこと」となります。
しかし、グラフ全体を見てもらうと分かるとおり、この要因が一番です!というようなハッキリした結果は出ておらず、高い割合の数字も横並びです。そして、子ども自身もきっかけが分からないという回答も2割強あります。また、「きっかけ」からその後も学校に行きづらくなる理由についての調査もおおむね同じような回答傾向となります。
これら資料から分かるのは、「不登校の子どもにはとりあえずこうすればいい」という特効薬があるわけではなく、問題を解決するためにはそれぞれの子どもにきちんと向き合って、解決策を探っていかなければならないということです。
言われてみれば当然のことかもしれませんが、解決にどのような方法を取っていくかを左右する事実ですので、それが調査資料によって裏付けられていることが重要なのです。政策は証拠に基づくものでなければなりません。
不登校の子ども達は支援を受けたがっている子たちが多い
不登校の子ども達はそれぞれのきっかけで不登校になっていることを確認しましたが、はたして不登校の子ども達は学校に行きたがっているのでしょうか。学校に行かせたがっているのは大人だけだったりしないでしょうか?
不登校に対する気持ち・考えに関する文科省の実態調査資料を引用します。
「早く学校に戻りたかった」と感じていた子どもは小学生が24.4%、中学生は29.4%という結果でした。
しかし特筆すべきは、「勉強の遅れに対する不安があった」と回答した子どもの割合が、小学生が6割強、中学生は7割強、そして「進路・進学に対する不安があった」と回答している中学生も約7割いることです。
ここから一義的に結論を出すことは難しいですが、少なくとも教育的支援にニーズがあることは分かります。そして、学校に行きづらくしている理由として勉強の遅れに対する不安という回答も多いことからすると、様々な要因から「通っていた」学校にすぐさま戻りたくはないけれど、他の学校等で勉強は教えてほしいし、そうでないと進路進学が不安だと感じている子どもたちが多いことが分かります。
また、ほっとした気持ちや自由時間が増えてうれしい一方で、自分のことが嫌で仕方がなかったという辛い気持ちを抱えた子どもが約半数であり、子ども達が様々な不安を抱えていることも分かります。
加えて、不登校の子どもの1/4が学校への復帰を望んでいるわけで、単純な計算だと5万人の子どもたちが学校復帰を望んでいるのです。
関係者に聞いても、やはり子どもたちの多くは学校に行かないのではなくて、行きたくてもいけないのが実情とお話しされます。支援の必要性を強く感じます。
必要なのは公的支援の拡充
こうした状況に対して、支援は十分なのでしょうか。
- 教育支援センターと不登校特例校の圧倒的不足
不登校児童生徒の社会的自立に向けた指導・支援を担う「教育支援センター(適応指導教室)」について、令和元年度時点で1527施設と一見多そうに見えます。
しかし、設置自治体の比率は63%と、自治体によって偏りが大きいことが分かります。これでは、どこの地域に住んでいるかで支援を受けられるかどうかを左右されてしまいます。
さらに、不登校児童生徒を対象とした、特別の教育課程(授業数を減らしたり始業時間が遅くしたりする等)を編成できる不登校特例校については、令和4年度時点で全国にたったの21校しかありません。
現場の教員や学校経営者は非常に頑張っていると聞きますが、実態は逼迫した経営状況の学校もあると聞きます。継続的な支援が不可欠な不登校支援において、持続可能性が十分に担保されていると言えるか、非常に心配です。
- 必要なのは公的支援の拡充
これに対して、現在でもフリースクール等の支援があるという反応もあるかもしれません。
しかし、不登校支援というのは非常に手間暇かかるもので、それに伴いフリースクール等の学費も高額なものとなりやすいのです。
それでは何が起きるかというと、家庭に経済的な余裕があるかどうかによって、不登校支援が受けられるかどうかが決まってしまう、支援を届けるべき子どもに支援が届かない事態が発生してしまうのです。
ゆえに、子ども達とその家庭に経済的負担の少ない、公的な支援という形の不登校支援が必要なのです。
そして、文科省が行った調査では、教育支援センターを設置していない自治体に理由を聞いたところ、「予算・場所の確保が困難」の問題が上位を占めていました。
いま取るべき政策としては、不登校支援に関して公的支援を拡充するべく、国から教育支援センターや不登校特例校設置に当たって補助金を拡充することが必要不可欠だと思います。
今後、子ども・若者の不安解消政策の1つとして不登校支援に取り組みたいと思っています。データ等で理解するだけじゃなく、実際に問題に携わっている方々に会い、現場を見て話を聞きながら問題解決に尽力します。