本日は朝10時から文教科学委員会。「著作権法の一部を改正する法律案」について赤松が質問に立ちました審議されたのは「著作権法の一部を改正する法律案(閣法第51号)」。私の持ち時間は30分です。

興味のある方はぜひ、参議院の公式サイトで録画をご覧ください。
https://webtv.sangiin.go.jp/webtv/detail.php?sid=7446#119.2

質問は4つのパートに分かれています。

(1)「新たな裁定制度」について

私はマンガ図書館Zで、従来までの裁定制度を実際に利用したことがあります。(多分国会議員では私だけ) https://kenakamatsu.hatenablog.com/entry/20180302/p1
また以前「オーファンワークス実証事業」の幹事もやっており、それらを踏まえた総括的な質疑内容となりました。加えて「アウト・オブ・コマース」作品の取り扱いについても質問。マンガ図書館Zで主に取り扱ってきたのが「アウト・オブ・コマース」作品だったりします。

(2)「海賊版被害の損害賠償額の算定方法の見直し」について

私が20年以上追い続けている「マンガ海賊版」などの案件です。この改正によって、損害賠償額が従来より増額することが見込まれます。私は一昨年、海賊版サイトの広告代理店訴訟で知財高裁まで行って勝訴しており、「最も海賊版と戦ってきた漫画家」と言って差し支えないでしょう。

(3)「デジタルアーカイブ」に関する政策について

今回の著作権法改正案の中には無い案件ですが、関連で質問しました。まず大臣に所見を伺ってから、デジタルアーカイブの意義や課題を述べ、法的な枠組みについて前向きな回答を頂くことができました。

(4)最後は「ゲームの振興とプレイアブル保存」について

https://automaton-media.com/articles/newsjp/20220713-210212/

これも一般質問。これまで、国会でゲームのプレイアブル保存について質問した議員はおらず、私が初めてとなります。いきなりディープな手法(フランス国立図書館のようにエミュレータを活用するかどうか等)を質問しても国会図書館や文化庁が混乱するので、今後何年もかけてゆっくり実現したいと思っています。

・・・持ち時間30分だったのですが、大臣などの答弁が予想より長く丁寧で、(3)の辺りで「これは時間が足りなくなるのでは・・・」と焦りまくり。ラストがかなり早口になってしまいました。(結局30分ピッタリで終了) それでも今回は私にピッタリというか、私にしかできない質疑内容となりまして、その点は満足しています。 今国会ではこれが3回目の質疑。とにかく回数をこなして慣れたいですね。


 質疑の全文は以下の通りです。(国会会議録「第211回国会 参議院 文教科学委員会 第12号 令和5年5月16日」より、赤松の質疑部分を抜粋)


○委員長(高橋克法君)

 著作権法の一部を改正する法律案を議題といたします。
 本案の趣旨説明は既に聴取しておりますので、これより質疑に入ります。
 質疑のある方は順次御発言願います。

○赤松健君

 自由民主党の赤松健でございます。質問の機会をいただきまして、ありがとうございます。

 著作権法は毎年のように改正されております。私も、議員になる前からロビーイングや、参考人としてまさにそこに呼ばれていろいろお答えしたことがございます。こうやって著作権法改正案に関わってきてまいりまして、今回の著作権法の一部を改正する法律案、特に簡素で一元的な権利処理として創設される新たな裁定制度、これについてはこれ非常にインパクトが大きいものと理解しております。

 それでは、質問に入ります。

 これまでの裁定制度は、相当な努力を払っても権利者が不明などの理由により連絡が付かないと、こういうことが要件になっていたのに対して、今回、新しい裁定制度は、権利者の意思が確認できない場合も対象になるものと理解しております。

 まず、新しい裁定制度の要件であるその意思確認ができなかったことと、既存の裁定制度の要件である連絡することができなかったことの違いについて、具体例でお示しいただきたいと思います。例えば、確認のメールを送って届いたが返事がない、あと、LINEであれば既読が付いているが返事がないケースなどは、連絡することはできたが意思が確認できなかったということになるのでしょうか。また、メールで自動応答のみが来たという場合はどうなるのか、教えてください。

○政府参考人(杉浦久弘君/文化庁次長)

 お答え申し上げます。

 現行の裁定制度につきましては、誰が著作権者か分からない、著作権者等の所在が不明で連絡することができない場合が対象となります。また、新たな裁定制度では、このような場合に限らず、利用の可否に係る著作権者の意思が著作物等やウェブサイトなどに示されていない場合、著作権者に連絡しても返信がない場合等が対象に含まれるところでございます。

 具体的なケースにつきましては、制度のほかの要件についても考慮が必要ではございますけれども、確認のメールを送って相手方に届いたが返事がない場合や一時不在の自動送信があった場合、メッセージで既読が付いているが返事がない場合につきましては、現行の裁定制度の対象とはならないけれども新たな裁定制度の対象となり得る、また、メールを送ったがメール未達の通知があった場合には両方の制度の対象となり得ると考えております。

○赤松健君

 ありがとうございます。

 次に、利用条件等が明示されているけれども連絡が付かないと、こういう場合、新たな裁定制度には該当しないが既存の裁定制度の要件を満たすのか、お示しください。

○政府参考人(杉浦久弘君/文化庁次長)

 お答え申し上げます。

 著作物の利用可否や条件等が明示されている場合は新たな裁定制度の対象とはなりません。一方、そのような場合にも、著作権者の氏名又は住所等の著作権者と連絡するために必要な情報を得るための措置及び著作権者と連絡するための措置をとったにもかかわらず連絡することができないといった要件を満たす場合には現行の著作者不明等の場合の裁定制度の対象となります。

○赤松健君

 ありがとうございます。

 次に、新たな裁定制度と権利者不明等の場合の既存の裁定制度、両方の要件に該当するような場合があるのか、ある場合にはどういった場合なのか、具体例も交えてお示しください。

○政府参考人(杉浦久弘君/文化庁次長)

 お答え申し上げます。

 新たな裁定制度と現行の権利者不明等の場合の裁定制度の両方の要件に該当するケースは想定されているところでございまして、この場合、利用者はどちらかの制度を選択することになります。

 具体的には、著作物の利用可否に係る著作権者の意思が確認できないことと同時に、著作権者の氏名又は住所等の著作権者と連絡するために必要な情報を得るための措置及び著作権者と連絡するための措置をとったにもかかわらず連絡することができない場合などが該当します。例えば、ホームページ上に利用規約や権利者情報等が掲載されずにアップロードされているコンテンツなどが想定されます。

○赤松健君

 ありがとうございます。

 続けて質問いたします。

 新たな裁定制度には三年という利用期間の上限がありますけれども、三年経過してもまだ利用したいという場合は改めて全く同じプロセスの申請を行う必要があるんでしょうか。権利者に最大限配慮しつつも、利用者の負担軽減の観点から、初回に比べたらここ簡素化するとか、そういう工夫は考えておられますでしょうか。

○政府参考人(杉浦久弘君/文化庁次長)

 お答え申し上げます。

 新たな裁定制度は、著作権者等の意思を改めて確認する機会を確保する観点から利用期限、期間に上限を設けていますけれども、裁定を受けた利用期間の経過後に改めて利用を希望する場合には再度申請を行うことが可能でございます。この際の申請につきましては、例えば、当初申請で用いた資料の再使用など、要件確認等の手続を簡素にできるよう運用面での工夫を検討いたします。

○赤松健君

 ありがとうございます。

 続きまして、いわゆるアウト・オブ・コマース作品の扱いについてお伺いします。
 文化審議会において、アウト・オブ・コマース作品の扱いについて議論がありまして、禁無断複製、最後に書いてありますよね、こういうような定型文言をもって意思表示ありと見るべきではない、こういう意見があったと承知しています。その上で、今後の検討課題とされていますね。

 改めて、このアウト・オブ・コマース作品の扱いについてどういう議論の整理になっているのか、説明をお願いします。

○政府参考人(杉浦久弘君/文化庁次長)

 お答え申し上げます。

 文化審議会では、新たな裁定制度の検討に当たり、市場に流通していない、いわゆるアウト・オブ・コマースと呼ばれる著作物の利用円滑化も含めて議論が行われ、利用の可否に係る著作権者の意思が確認できない著作物の利用円滑化につきましては合意が得られた一方、いわゆるアウト・オブ・コマースにつきましては様々な意見がございました。

 具体的には、まず一つ目、著作物の表紙等に記された無断転載禁止といった定型的な記載のみをもって著作権者の意思と判断すべきではない、それから二つ目、単なる品切れ、重版待ち、販売戦略等により市場に流通していない場合もあり、アウト・オブ・コマースであるかどうかの判定が難しく、流通実態等を踏まえるべき、三つ目として、アウト・オブ・コマースかどうかの判定に時間を掛けて制度の狙いとするスピード感が失われては本末転倒などの御意見を頂戴したところでございます。

 文化審議会の答申におきましても、いわゆるアウト・オブ・コマースについてこれらの意見を紹介しつつ、次のように整理されているところでございます。すなわち、過去の時点での利用の可否が示されているものの、現在市場に流通していないなどにより現在の意思が確認できない場合の扱いにつきましては、実態等を踏まえて引き続き今後の検討課題とするとされているところでございます。

○赤松健君

 今後の検討課題の中で、アウト・オブ・コマースとはどういうものなのか定義付けをする、あるいはこの枠組みを検討するなどの予定はありますでしょうか。お答えください。

○政府参考人(杉浦久弘君/文化庁次長)

 お答え申し上げます。

 文化審議会の答申を踏まえ、新たな裁定制度の対象となる著作物の中に含まれ得る、いわゆるアウト・オブ・コマースの範囲について検討を行うこととなると考えております。

 なお、その検討に当たりましては、先ほども申し上げましたとおり、審議会において意見のあった単なる品切れ、重版待ち、販売戦略等により市場に流通していない場合などの流通実態やアウト・オブ・コマースかどうかの判定に時間が掛かり過ぎることのないようにするといった点に留意していかなければならないと考えております。

○赤松健君

 確認したいんですけれども、アウト・オブ・コマース作品のような一度は公表されているがその後市場に出ていないものを利活用したいニーズというものが今回の簡素で一元的な権利処理の中に含まれていると思うんですけれども、文化庁がどのような見解か、お示しください。

○政府参考人(杉浦久弘君/文化庁次長)

 お答え申し上げます。

 本制度の検討に際して、文化審議会では、アウト・オブ・コマース作品を含めた著作物等について、新たな仕組みの創設により円滑かつ迅速に利用できるようにすることとされておりました。本制度は、アウト・オブ・コマース作品を利活用したいというニーズについても応えるものでございまして、こうしたニーズについても本制度を活用することで対応できると考えております。

○赤松健君

 アウト・オブ・コマース作品に関する今後の検討課題について、本法案が、法律案が成立した場合、その施行日までには検討結果とかの結論が出ている予定なんでしょうか。その点も伺いたいと思います。

○政府参考人(杉浦久弘君/文化庁次長)

 お答え申し上げます。

 本法案においては、未管理公表著作物等の利用の可否についての著作権者の意思を確認するための措置は文化庁長官が定めることとしてございます。この措置は改正法の施行までに定める必要があることから、アウト・オブ・コマース作品に関する意思の適切な確認方法についても改正法の施行までに文化審議会答申を踏まえて検討を行い、適切な運用を行っていきます。

○赤松健君

 ありがとうございます。

 続いて、既存の裁定制度についてお伺いしたいと思います。

 私自身も二〇一八年に裁定制度を使ったことがあります、実際に。二〇一六年から二〇一九年度に裁定制度の利用円滑化に向けた実証事業というものが行われて、私もこれに関わりました。

 この実証事業に関して、どういったフィードバックがあって、検証の結果はどのようなものであったか、また、この実証事業がその後の裁定制度自体とかその運用にどのように生かされているか、お示しください。

○政府参考人(杉浦久弘君/文化庁次長)

 お答え申し上げます。

 文化庁においては、二〇一六年度から二〇一九年度にかけまして、著作権者不明等の場合の裁定制度の利用円滑化に向けた実証事業を行い、裁定利用に必要な権利者の捜索や文化庁への申請等を利用者の負担軽減として利用者に代わって権利者団体がまとめて行うことによる効果等について検証いたしました。

 この成果としては、権利者団体が裁定に係る手続を担うことで利用者の負担を大幅に軽減できる効果が実証されたこと、権利者団体において業務を担う体制の整備が進んだことなどが挙げられました。一方、課題といたしましては、運営費用の確保といった業務を持続的に行うための方法などが挙げられました。

 実証事業につきましては、二〇二〇年度以降、権利者団体等で構成するオーファンワークス実証事業実行委員会が引き続き同様の取組を行うこととなり、現在は相談業務に絞って取組を行っていると承知しています。また、新たな裁定制度の検討の際には、文化審議会においてオーファンワークス実証事業実行委員会からヒアリングを行うなど、これまでの取組を参考としております。

○赤松健君

 その他、既存の裁定制度のこれまでの改善点や現状の課題が新しい裁定制度に生かされている点、あと、及びいまだ解消されていない課題、これについてお示しください。

○政府参考人(杉浦久弘君/文化庁次長)

 お答え申し上げます。

 現行の裁定制度につきましては、これまで数次にわたり制度を利用しやすくするための見直しを行ってまいりました。一方、現状の課題といたしましては、要件確認や補償金額の決定に掛かる時間が長くなっていること、供託手続に時間と手間が掛かること、供託した補償金が活用されていないことなどが指摘されております。

 こうした課題を踏まえまして、新たな裁定制度においては、要件確認や使用料相当額の算出等の手続を登録確認機関が行うことができるようにすること、補償金を指定補償金管理機関へ支払うことで供託手続を不要とすること、指定補償金管理機関へ支払われた補償金を著作物等利用円滑化事業に活用できるようにすることなどの対応を図っております。また、現行の裁定制度についても、補償金を指定補償金管理機関へ支払うことで供託手続を不要とすることとしています。

 このほかにも、現行の裁定制度の運用の改善に向けまして、補償金額の目安を示す裁定補償金額シミュレーションシステムの充実とその積極的な活用、登録確認機関等との連携も見据えつつ、手続をオンラインで行えるようにすることの検討などにも取り組んでまいりたいと考えております。


○赤松健君

 今出てきました裁定補償金額算定シミュレーションシステムについて、相場と懸け離れた金額が出てきてしまうといったことも聞いております。制度の実効性のためには、裁定補償金額算定シミュレーションシステムの改善を行っていただいて、新しい裁定制度でも使えるものにしていただきたいと思っています。

 裁定制度についての質問は以上です。

 続けて、海賊版被害等の実効的救済を図るための損害賠償額の算定方法の見直しについてお伺いします。
 海賊版対策については、私も議員になる前からもう二十年以上これ取り組んでまいりました。

 お手元の資料で、漫画海賊版サイト上位十サイトのアクセス数合計の月別の変化をグラフで示したものがあります。これ、一般社団法人ABJさんの調べによるものです。

 これを見ると、二〇二一年の後半に漫画のある巨大海賊版サイトが閉鎖されまして、その後、二〇二二年前半にまたこれ、更に巨大な二サイトが閉鎖されて以降、海賊版へのアクセス数がぐうっと減っているんですよね。これ、CODAとか権利者団体、弁護士、国の相互連携によってこのような成果が出ていると聞いております。

 ただ、やはりまだ、まだ二億弱のアクセス数で横ばいになっている状況なんですよね。これ、引き続き対策をしていく必要があると思います。また、これからも、官民連携による摘発、特に海外の海賊版サイト運営者への国際執行や正規版への誘導、啓発活動などの取組など、対策を引き続きやっていく必要があると思います。

 その中で、侵害者に経済的な利益が残らないようにするということが対策としては非常に必要です。その観点から、今回の損害賠償額の算定方法の見直し、これ大変大事なものと考えております。

 そこで、今回の改正の実効性についてお伺いしたいと思います。
 今回、権利者の販売能力を超える部分について、これまでは損害額から控除されていた、これが今回の改正でライセンス料相当額の損害賠償請求ができるようになること、それと、百十四条三項のライセンス相当額の損害賠償額算定に当たって著作権侵害があった前提の額を考慮できることが明確になっています。

 今回の改正は特許法の近時の改正と同様になると認識しております。特許法ではこの改正によって実際に認定された損害賠償額がどれぐらい増加したのか、文化庁が把握されている特許法における実績を教えてください。

○政府参考人(杉浦久弘君/文化庁次長)

 お答え申し上げます。

 令和元年の特許法改正後に訴訟において認定された損害額といたしましては、市場における通常のライセンス料率と同程度としたものがある一方で、事業によっては通常の約一・五倍や二倍程度の損害賠償が認められた例もあると承知しております。

 今般の著作権法改正におきましても、最終的には個別の事案に応じた司法判断とはなりますが、改正後は同様に訴訟において認定される損害額が高まり得る効果が期待されます。

○赤松健君

 ありがとうございます。

 著作権法改正の方でも損害賠償額が従来よりも増額されると、これが期待できるということで、実効性について今後注視してほしいと思います。

 次に、ストリーミング型サイト、海賊版サイトへの損害賠償額算定についてお伺いします。
 御承知のとおり、近年の海賊版サイトの多くが、これストリーミング型になっております。著作権法百十四条一項の損害賠償額算定の対象として規定されている受信複製物は、あくまで数量が特定できるもの、つまりダウンロード型、海賊版のね、を想定していまして、ストリーミング型の侵害には機能していないものと理解しております。これについて、文化審議会での検討や報告書でも、今後の裁判例や技術発展、改正後の著作権法百十四条三項の活用などによって動向を見つつ、引き続き検討していくというような形でまとめられていると思います。

 しかし、数量が特定できるダウンロード型の侵害と比較して安定しないのではと考えられますね、これね。また、著作権法百十四条の二以下での立証負担緩和の規定があるものなんかもこれ承知しているんですけれども、それでも権利者サイドにおける譲渡等数量の立証負担が依然重いという問題はあると思います。

 これについて、文部科学大臣の所見と、今後、具体的にどのような場でどの程度の時間軸で検討する予定なのか、これをお示しください。

○国務大臣(永岡桂子君)

 赤松議員御指摘のように、文化審議会の答申では、ストリーミング型サイトにおけます著作権侵害について、更なる立証負担の軽減を図る方策を今後検討をすることが求められておりまして、私といたしましても、この点の対応というのは大変重要な課題であると、そう認識をしているところでございます。

 この点につきましては、答申においてお示しされておりますように、今後の損害額の立証に関する技術の進展ですとか裁判実務の動向も踏まえつつ検討をしていく必要があると考えております。そのために、どのような場で、またどのようなスケジュールで議論を進めていくかは、現時点でお示しすることは難しいわけでございますけれども、いずれにいたしましても、今後適切に検討を進めてまいります。

○赤松健君

 ありがとうございます。

 続きまして、デジタルアーカイブに関する政策についてお伺いしたいと思います。

 デジタルアーカイブの推進については、知的、知財推進計画や文化芸術推進基本計画第二期でも触れられてあります。特に、近年急速に発展している生成AIの時代において、良質なデータアセット構築、そのためのアーカイブというものが非常に重要だと思われます。

 改めて、この観点も踏まえて、デジタルアーカイブの促進について文部科学大臣の所見をお聞かせください。

○国務大臣(永岡桂子君)

 文部科学省では、政府全体方針でございます知的財産推進計画や、また本年三月に閣議決定をいたしました第二期の文化芸術推進基本計画に基づきまして、近年急速に進展しておりますデジタル化の潮流を踏まえて、我が国の多様な文化遺産など、文化芸術に関します情報のデジタルアーカイブ化を推進することとしております。

 具体的には、文化庁におきまして、一つ目は、文化遺産オンラインや、またメディア芸術データベースを整備、運営するとともに、二つ目になりますが、国立文化財機構など独立行政法人におけます所蔵作品だとかまた資料などのデジタルアーカイブ化の促進、そして三つ目でございます、全国の博物館、美術館におけるデジタルアーカイブ化の取組の支援などに取り組んでいるところでございます。さらに、デジタルアーカイブを教育、学術研究などの様々な分野に役立てることを目的といたしまして、図書館や大学、研究機関などを含みます幅広い機関との連携が進められているところでございます。

 デジタルアーカイブが社会が持つ様々な資源を効率的に共有をいたしまして、未来に伝え、そして知的活動を支える基盤的な役割を担っているということを踏まえて、文部科学省といたしましては、今後とも、多様な情報に誰もがいつでも簡単にアクセスができるように、引き続きましてその推進に努めてまいりたいと考えております。

○赤松健君

 ありがとうございます。

 文化資産始め様々な情報資産を持続的に収集、保存して活用していく、これはデジタルアーカイブの基盤をしっかり整える、これが様々な観点から重要だと考えております。

 文化の相互発展や創作活動の促進はもちろん、情報格差の是正とか日々の学習、これ、情報リテラシー向上、研究開発、防災などにも資するものです。そのためにしっかり基盤をつくって、国家戦略として横断的にデジタルアーカイブ、これを進めていく必要があると考えております。

 ただ、やはり人員や予算が必要になってきます。また、誰がそれを担うのかと、役割分担とか、どのように連携していくかという課題もあります。

 そこで、デジタルアーカイブに関する基本法を含めて、それに基づく計画の策定が必要になってくると思います。こういったデジタルアーカイブに関する基本法、デジタルアーカイブ推進に関して法的な枠組みの設定の必要性に関して、大臣の所見をお聞かせください。

○国務大臣(永岡桂子君)

 今私が申し上げましたように、現在は、我が国のいろいろな様々な機関が有する主要なコンテンツのデジタルアーカイブ化については、デジタル庁ですとか、また内閣府を中心に関係省庁が連携をして取り組んでおりまして、知的財産推進計画に基づいて日本が保有しております様々なコンテンツのデジタルアーカイブ化を推進することは大変重要だと考えております。

 このため、赤松議員御指摘のデジタルアーカイブ基本法などの枠組みの設定につきましては、これデジタル庁ですとか内閣府を中心に政府全体で検討していく必要があると考えております。

 こうした中で、文部科学省といたしましても、引き続きましてデジタル庁や内閣府を始めとする関係省庁と緊密に連携をしながらデジタルアーカイブ化の推進に取り組んでまいる所存です。

○赤松健君

 ありがとうございます。

 続きまして、メディア芸術であるゲームの振興、これゲームをプレー可能な状態で保存する、これプレーアブル保存と申しますけれども、この必要性についてお伺いします。

 令和五年三月二十四日に閣議決定をされました文化芸術推進基本計画第二期の前文に、現代的な美術、音楽、演劇、舞踊などの芸術、映画、漫画、アニメーション、ゲームといったメディア芸術という記載があって、これ、元々ゲームって入っていなかったんですけど、私、入れていただきました。

 そこで、今後五年間でゲームの振興という点について政策としてどのようなことを考えているか、文化庁、お示しください。

○政府参考人(杉浦久弘君/文化庁次長)

 お答え申し上げます。

 第二期文化芸術推進基本計画の前文には、映画、漫画、アニメーション、ゲームといったメディア芸術は、世代を問わず人々の心を捉え、我が国の文化芸術の幅の広さ、奥深さ、質の高さを示していると、その重要性が記載され、今回新たにゲームも明示されたところでございます。

 文化庁におきましては、ゲームを含めたメディア芸術の振興、発展を図るため、将来を担うクリエーターの育成、散逸、劣化の危険性が高い中間生成物の保存等の調査研究、所蔵館等におけるアーカイブ等の取組への支援、メディア芸術データベースの整備等に取り組んできたところであり、引き続きこれらの施策を推進してまいります。

○赤松健君

 文化芸術振興という点から、新しいゲームを世に送り出すのも重要なんですけれども、古いゲームを残して、それプレー可能な状態で保存すると、これ非常に重要。私も漫画家なんですけど、ゲームも作ったことがありまして、昔のゲームからインスピレーションを受けるということは非常にあります。これ、ゲームはメディア芸術であるとともに技術なので、これ技術の伝承という点からもプレー可能な状態で保存すると、利活用すると、これ非常に大事です。権利者への配慮と保護は大前提なんですけれどもね。

 そこで、このようなゲームのプレーアブル保存、利活用について文部科学大臣の所見をお聞かせください。

○国務大臣(永岡桂子君)

 確かに、昔のゲーム、まだやりたいと時々思うこともございますよね。そのことに関しましては、文部科学省におきまして、これまでも様々な施策を実施する中で、ゲーム業界の関係者の皆様とも意見交換等を行っております。

 その中で、例えば、物の保存にとどめずに、ゲームを再現することによりましてその価値が生きるですとか、また過去のゲームもプレーできた方がよいため、それが実現できることが望ましいといった、ゲームのプレーアブル保存、利活用についての御意見などもございました。

 今後も関係者、関係機関等とも連携を図りながら、ゲームを含めた我が国のメディア芸術の振興、発展に努めてまいります。

○赤松健君

 ありがとうございます。

 パッケージのゲームソフトに関しては国会図書館の納本制度の対象になっていますけども、その収集状況はどうなっていますでしょうか。国会図書館、お願いします。

○国立国会図書館長(吉永元信君)

 お答えいたします。

 パッケージ版のゲームソフトにつきましては、平成十二年十月以降に国内で発行されたものが納本制度による収集対象となっております。

 令和四年十二月時点での収集点数は、平成十二年以降に発行されたものが約六千八百点、同年より前に発行され寄贈により受け入れたものが約四百点で、合計約七千二百点でございます。年間に数百点ほど収集しております。

 なお、国内における発行数を網羅的に収集、把握することは困難でございますが、例えば、文化庁のメディア芸術データベースには平成十二年以降の物理パッケージのゲームとして約二万件が登録されております。

 納本制度の対象となるものがパッケージ版のゲームソフトのうち、納入されていないものの収集につきましては、納入実績がないゲーム会社等に対して納入依頼を行い、国立国会図書館への納入につながるように努めてまいります。

 以上です。

○赤松健君

 最後に、ゲームのプレーアブル保存、利活用について、今後どうしていくか。国会図書館さん、その所見をお示しください。

○国立国会図書館長(吉永元信君)

 お答えいたします。

 国立国会図書館では、収集したゲームソフトは書庫に収蔵し、保存のために細心の注意を払って管理しております。

 利活用につきましては、実際のゲーム機を用いてプレーアブルな形で提供することを一部のゲームソフトに対して試行的に行っております。

 今後は、ゲームの調査研究の目的に応えることができるように、ゲーム機の種類を増やすなどの利用環境の整備を進め、資料の保存に引き続き配慮しつつ、提供対象を広げていく予定でございます。

○赤松健君

 ゲームの調査研究の目的でないと今館内でプレーできないんですけれども、先ほど申し上げたとおり、古いゲームの内容とか技術にインスピレーションを受けて新たなゲーム開発につなげるということも大事だと思います。そういった新しいゲームの開発目的でもプレー可能になるように、目的の範囲を広げる、これも検討していただきたいと思います。

 私からの質問はこれで終わります。