9月12日の大阪・関西万博「イタリア館ナショナルデー」において、ジューリ文化大臣の似顔絵パネルを進呈し歓迎したところ、驚くほど喜ばれまして、急遽イタリア最大の漫画イベント「ルッカ・コミックス&ゲームズ2025」に「名誉ゲスト(Guest_of_Honor)」として招待されました!

この「Lucca Comics and Games2025」は、毎年10月末にイタリアのルッカで開催される、漫画やゲームのイベントです。その規模はヨーロッパ最大と言われ、日本のコミケに次いで世界2番目とも。
ジューリ文化大臣は「まさに日本のアニメを見て育ってきた」という日本好きで、その大臣から直接招待された以上は、しっかりと両国間友好と日本漫画のアピールをしてこようと思います。他のゲストとして『北斗の拳』の原哲夫先生もご一緒します。

初日:オープニングセレモニー
イタリア(というかヨーロッパ)最大の漫画系イベント「ルッカ・コミックス&ゲームズ2025」の初日です!
とにかく人が多い!こんなに多くの漫画アニメゲーム好きが集まるイベントが、イタリアのルッカにあるとは本当に驚きです。ルッカは(進撃の巨人のように)城壁で囲まれた城塞都市で、その中にフランス「ジャパンEXPO」を超える人数のマンガ好きが一斉に集結した感じ。そのイベントの名誉ゲストとして、イタリア文化大臣に招待されるとは、とても光栄なことだと思います。

街の中心の劇場で行われた開会式には、そのジューリ文化大臣も登壇。万博以来、早くも再会を果たして固く握手!例の似顔絵パネルは、お部屋に飾ってあるとのこと。

ランチ会では、何とトスカーナ州知事、ルッカ市長、イベント代表者まで加わって、ポップカルチャーを含む文化全体について会談しました。ちなみに「ゴルドレイク(グレンダイザーのこと)とマジンガーZはイタリアではどちらが有名か?」と質問したところ、かなりの騒ぎになり、結局ゴルドレイクの勝ちとなりました。イタリアとフランスの40~50歳以上ではかなりの知名度を誇る作品です。
また、かつて教会だった建物の中で行われている、原哲夫先生の展示会も視察。『北斗の拳』の生原稿、今では絶滅した「二色刷り」原稿もあって、見ごたえは十分。自作原稿用紙やマクソン原稿用紙の使用も確認できました。
古いキリスト教文化と新しいマンガ文化が混じり合い、異様かつ斬新な雰囲気となっています。こんな組み合わせのマンガ生原稿展示イベントは、今まで見たことがありません。
その後も、とにかく人であふれる都市会場を視察しつつ、明日2日目の対談イベントなどに備えて一旦ホテルに戻りました。

コミケやジャパンEXPOはどちらも主に建造物の中で開催される形ですが、城塞都市が丸ごとマンガイベントに乗っ取られている形は、インパクトが凄すぎます。特にメインストリートはコスプレイヤーも含めて人・人・人で埋め尽くされ、このパワーにイタリア政府も驚いて、大臣クラスが初めて開会式に登場するまでに至ったというわけです。
明日は、私も実際に各種プログラムに登壇し、その人気の秘密を探りつつ、日本文化のアピールも行ってきます。

2日目:記者会見・イベント登壇・授賞式
イタリアでの「ルッカ・コミックス&ゲームズ2025」の2日目。本日は『北斗の拳』の原哲夫先生を会場にお迎えして、11時から私も先生の記者会見に同席。漫画家歴30年の赤松から見ても、原先生は雲の上の憧れの存在です!・・・といったスピーチをいたしました。現地の記者からは、先生の連載デビュー作の話や担当編集者との関係など、かなりディープな質問が連発。皆さん本当に詳しくて驚きます。

14時からは、イタリアの著名作家ファビオ・チヴィテッリ氏と赤松との対談イベントです。ライブドローイングしながら対談やインタビューなどを受けていくという珍しい企画。私からは「ファビオ氏の使っている画材」に始まり、「イタリアの漫画の掲載方式は?」「日本では電子書籍の売り上げが紙を超えたがイタリアではどうか」「webtoonをどう思う?」など専門的な質問をしたところ、原作者先生も加わって詳しい回答が得られました。イタリア漫画業界での困った習わしなどもあるにはあったのですが、紙(の本)に対する愛着や、政治との距離感などとても参考になりました。今後の活動に生かしていきます。

来場された観客の方々も漫画マニア揃いで、とても楽しいイベントとなりました。特にファビオ先生、ありがとうございました。

そして19時半からは「ルッカ・コミックス&ゲームズ・アワード」の授賞式。何と原哲夫先生が、その圧倒的なキャリアから「功労賞」を受賞されました!真摯で温和な受け答えに、会場からは大きな拍手が。原先生、受賞おめでとうございます!まさに日本漫画界の誇りです。

さて、明日はルッカの最終日。朝から(主催者側から頼まれた)サイン会があり、もう政治家というより漫画家としての扱いになっていますが、イタリアの日本漫画ファンと両国友好のために頑張ってきます。
3日目:サイン会
イタリアでの「ルッカ・コミックス&ゲームズ2025」の3日目。私は本日で参加最終日となりますが、正直言って最初はここまで大規模なイベントとは思っていませんでした。しかしこれならばイタリアの文化大臣と州知事と市長が揃って開会式に出席するわけですよ!とにかく参考にすべき点が多い。特に「城塞都市が丸ごと漫画イベントと融合している」形はインパクトが凄いです。広島県福山市の「フクヤマニメ」は、もうはっきりルッカを目指すべきと思います。

さて、本日は10時から私のサイン会。大変長い行列ができましたが、時間の都合で50名ほどで区切らせて頂きました。申し訳ないです。イタリアでも、やはり『ラブひな』が強いですね。イタリアの皆さんからとても強力な応援をもらいました。

午後からはいよいよルッカを離れ、フィレンツェの美術館などを視察。 ウフィツィ美術館のトンマーゾ・ガッリガーニ広報官によると、近年「ルッカ・コミックス&ゲームズ」とフィレンツェの関係が強まり、何と今回はウフィツィ美術館に原哲夫先生の自画像が収蔵されるまでになっています(※展示されるとは限りませんが)。こういったポップカルチャーの盛り上がりに関して、古い文化遺産を会場に使った展示会などで「新旧文化を融合させていく試み」は、非常に可能性に満ちていると感じます。

また二日目の対談企画の司会であった、イタリア文化省のサルヴァトーレ・サンタンジェロ氏は、「アーティストは不安定な職業。新たな年金基金を作ってサポートしていく予定だ。」とのこと。こちらは、自国のコンテンツパワーを守り強化したい方針がうかがえました。

ご存じの通り、日本政府はコンテンツ産業の海外売上高を2033年までに20兆円に成長させたい考えです。直接的なクリエイター支援と同時に、ルッカのような「街ぐるみイベント」や「自治体とのつながり強化」も考えていければと思います。 好都合なことに、今期から党の文化系の調査会や部会、コンテンツ系の役職が回ってきそうですので・・・。