こんにちは、赤松健です。
今回は、2012年に私が作った「GANMO(がんも)」という漫画家とアシスタントのマッチングサービスについて語らせて下さい!
皆さんは、漫画家さんがアシスタントさんを募集したい場合、一体どうするかご存じですか?
以前は、よく雑誌の巻末に「アシスタント募集!」みたいなコーナーがありましたよね。でも最近は、インターネットで募集されることが多くなってきました。
そこで作ったのがGANMOです。
このサービス、私の手元に利益は全く入ってこないです。しかし、私はこの国で生まれ続けるマンガが大好きなので、漫画家さんやアシスタントさんたちが喜んでくれればそれだけで十分なのです。
マンガ図書館Zを作ったり、同人マークを作ったりと色々サービスを作りましたが、結局一番使われているのはGANMOかもしれません(笑)。ジャンプやマガジンの超有名作も、結構GANMOを使ってアシスタントを採用しているのですよ。
漫画家がアシスタントを募集できない事態に!
2012年に、J.A.C.という漫画家とアシスタントの老舗マッチングサービスが一時的に稼働を停止しました。稼働停止の理由は、J.A.C.を通じて出会った作家・アシスタント間のトラブルが頻出するようになったからとのことでした。
当時で設立から13年が経過していたJ.A.C.は、多くの漫画家さんたちがアシスタント募集に活用していました。ですので、運営から稼働停止が発表されると、漫画家界隈は困惑・悲観の声に溢れました。
漫画家側は、多くの場合アシスタント無しにはマンガの質が急激に下がります。タイトなスケジュールの中でマンガを描き続けられるのは、アシスタントあっての賜物なのです。
一方で、アシスタント側はもっと深刻で、仕事が探せなくなってしまいます。すぐに生活に困窮するという人しかいないということではないでしょうが、この状態が長く続けば明日の食事の心配をしなければならない人も出てくるでしょう。最終的にはアシスタント生活を諦め、自分のマンガを描く夢を諦めてしまう人も出るかもしれません。
この現状を見た私は、早急に代替サービスが必要だと感じました。
ありがたいことに、私にはマンガ図書館Zを開発した時から仲良くしていたプログラマーがいたので、彼と意見交換しながらサービスローンチに向けて動き始めました。
GANMOを1週間で実装できたワケ
その構想から1週間足らずで、「GANMO」はβ版の発表に至りました。
ツイッター認証を使うことによって、完全ではないがある程度は募集者本人の素性が分かるという、当時としては画期的な作りでした。
また、当然ですが私自身が漫画家なので、J.A.C.がどのように使われていたのか、漫画家としてアシスタントを募集し実際に採用するまでの具体的な動きが全て経験ベースで分かっていました。
つまり、新サービスにおいてユーザーが本当に求めているものがマーケティング等不要で把握できていたのです。当たり前と言えば当たり前ですが(笑)、重要なことです。
また、私はゲームを開発・全国発売していたプログラマーでもありました(ゲーム開発者ブログURLリンク)。なので、新たなwebサービスを作る時にプログラムでどこまでができるか、できないかある程度の算段をつけることができました。
ですので、実装担当のプログラマーとの打ち合わせもスムーズで、スピーディなサービス実装を実現できました。
自分だけが良ければいいのではない。クリエイター支援という動機
GANMOは当初、広告もつけず一切の収益を上げない形で始めましたし、永続的にその方針でいくつもりでした。
理由は単純で、収益を上げることが目的ではなかったからです。
クリエイターさんたちが困っていて、生活も脅かされるかもしれない、将来生まれる作品も生まれなくなってしまうかもしれない。
ここまで百花繚乱に多様性の花開いた日本のマンガ文化が失われてしまうこと、それを支える人達が苦境に立たされていることを考えたら、手を打たずにはいられませんでした。
私は日本のマンガ・アニメ・ゲームが大好きです。いわゆるオタクとして数えきれない作品に楽しませてもらいましたし、漫画家としてもコミケ等の同人誌即売会や商業漫画に育ててもらいました。
みんながやらないなら、私がやるしかない。そういう想いでした。
とか言いながら、いまは広告が出ちゃってます。
というのも、私は金銭を得ることすら考えていなかったのですが、ユーザー側から「サーバー代くらいは広告か何かで稼いでおいてほしい」ということで、むしろ以前より安心して使っていただけるようになりました。
もちろん、サーバー代をまかなうくらいで収益はあがっていませんし、漫画家さんアシスタントさんの双方から手数料はもらっていません。
おかげさまで、GANMOは数多くのクリエイターの皆さんにつかれ、毎日20件ほどの投稿があります。
これからも、クリエイター支援を基本的な姿勢に据えながら、政策も推し進めていきたいと思っています。